管理栄養士の私が製薬業界に就職した理由
管理栄養士の資格を取得できる学校に通ってたのに、栄養士として就職しなかったのには理由がある。
それは、給料が安いけど激務、っていうその差を、『やりがい』って言葉で埋めている感じがしたのもそうだけど...
あ、栄養士をディスっているわけではなく、栄養士は素敵で素晴らしい仕事だと思ってる。未来を担って行く子供達にも食事を出すわけだから☺︎
静岡のがんセンターに実習に行かせてもらった時に、感じたこと。
静岡はがんセンターと子供病院共に、全国でも最先端の医療が受けられるところで、全国から患者さんがやってくる
私は希望して、がんセンターに実習に行かせてもらった
最先端の治療を見たかったのと、何より、末期のがん患者さんの最期の食事を出せるって思ったから。
栄養士として働くのに、これ以上のやりがいと誇りは無いと思ったから。
でも、実際の現場では、末期の患者さんって、ご飯食べれないんだよね。
食欲も無いし、なにより、食欲があったとしても、“家族の手料理が食べたい”って言うんだよね。
要は、私がやりたかったことはやれないってことだ。
病院の食事より、家族の手料理が食べたいって思うのって、結構普通のことで。
私はそこで、栄養士として就職するのは止めようって思った。
『やりがい』って何なんだ?
それで患者さんの病気が治せるならそれでも良いけど、治せないならそんなものはいらない。食事の意味って何なんだ…??どうすれば…
私は祖父をがんで亡くしている。中学生の時、血反吐を吐く祖父を見た時に、呆然と立ち尽くした。
無力。病気の前ではなんて私は無力なんだ…
その記憶が蘇って、患者さんの病気を治すのに、栄養士では無力だと感じた。
製薬の方に進むことがそこで決まったのかもしれない。
薬剤師でなければ薬に携われないと思っていた私は、今就いている職業の話を聞いた時に、今まで受けていた全ての合格を蹴り、就活の路線を一変させた。
そして、現在糖尿病薬の開発に携わらせてもらっている。
一年間で、糖尿病薬、精神病薬、自己免疫疾患(自分の免疫で自分を傷つけてしまう病気)などの薬に携わらせてもらった。
がんは…隣の席のチームががんの治療薬を作っているチームで、よく会話を聞いている。
“また患者さんが亡くなった”“若い人でもかかるんだよねーがんって”
がんの薬剤の開発は難しい。
でも、藁にもすがるような気持ちで、治験に参加する患者さんや、その家族の希望がある。
患者さんが亡くなったと聞くと、祖父が亡くなったことを思い出す。食事だけじゃ無くて、薬でも、患者さんのがんは治せないのか…
じいちゃん、私どうすれば良いかな?
がんは、肉体的ストレスによる活性酸素の増加と、精神的ストレスやその他生活習慣などが合わさって、体の細胞ががん化するスピードがその量が増加し、体がそれを修復できず、がん細胞がコピーされて行くことで、がんになる。
若い人であれば、進行スピードも早い。
家族のために、誰かのためにって頑張っている人ほど、食生活が乱れ、心身ともにストレスを受け、がんになりやすいなんて…
そんな世の中で良いの??
私、もうわかんないよ…
そこから、アメリカでは主流の考え方である、予防医学を徹底的に学んだ。
要は、『病気にならない体作り』
セミナーにも通った。本も読んだ。めっちゃメモした。めっっちゃ勉強した。どうやったらきちんと伝わるか考えた。
元々の栄養の知識と薬剤の知識もあって、かなり専門的に話せるようになった。
時々、友達に、私の友達に栄養の話してーって、知識を話すことがある。
その時に、話を聞く子にまず最初に話すことは、“20代のうちにこの話が聞けるなんて、本当に連れてきてくれた子に感謝した方が良いよ”。
そうすると、話終わった最後には、“本当に連れてきてくれてありがとう”ってその子が連れてきた友達に言う光景が毎度のこと。
私は、本当にこの業界に就職してよかったな、って思う。
自分を守れるのは自分、とはよく言うけど、自分を守るために必要なのは
”正確な情報”だ。
体は一つしかない。大事にして欲しい。
大事な人を大事にするために、ってよく言われるけど、ほんとそうだね。
じいちゃん、これからも見守っててね、よろしくね☺︎